地帯を見ててふと暗いパラレル思いつきました。
13で、戦争もの。
突発なのでタイトルは無いです。
※暗くてパラレルなので要注意。
だいすき。
飛んでいく機体に想いを飛ばす。
だいすき、だいすき。
心の中で叫ぶのは、ずっと言えなかった言葉だった。
一日に二度、俺は心臓が止まりそうな程の事実を知らされた。
一つは、患っていた持病が悪化したこと。
来年の桜は見れないだろう、と無表情で担当医が俺にそう告げた。
あの人にどうやってこのことを話せばいいのだろう。
暗い気持ちを抱えて家に戻ると、あの人はもっと暗い顔をして正座のまま項垂れていた。
俺が帰ってきたのを気配で感じたのか、ハッとした表情で俺の方を向き。
困ったような、泣き出しそうな作り笑顔で口の端を持ち上げる。
嫌な予感しかしなかった。
「・・・いのはら」
「・・・なに」
「俺な、行かなきゃいけなくなったよ」
最後の最後まで何とか粘ったんだけど、もう限界だった。
最終部隊の一員として特攻隊に加わることになった。
「だから、もう、会えなくなる」
「・・・そっか」
ぽつりとこぼれた言葉は、呆れるほど普段通りで。
なのに、さかもとくんには色んなことが伝わってしまったらしい。
ぼんやりとしていた俺を、ぎゅうっと抱きしめてきた。
「いのはら」
「・・・うん」
「給料は先払いして貰ったから、薬の金は心配すんな」
「・・・うん」
言えなかった。
俺の病気はもう治らないからお金なんて要らないよ、なんて。
こんな状況で言えるわけが無かった。
代わりに、腕をさかもとくんの背中に回してぽん、と軽く叩く。
「一緒に居られなくて、ごめんな」
「・・・いいよ、仕方ないもん」
「約束だから、破りたくはなかったんだ」
「いいって、もう」
本当は俺が破るはずだった、約束。
小さい頃に交わした、血の繋がらない兄弟の約束。
他愛の無いそれを、この人は最後まで律儀に守ろうとしてくれていた。
それだけで、十分だから。
「・・・いつ、発つの?」
「明後日の早朝に」
「・・・早いね」
「そう、だな」
段々と枯れていく声がみっともなくて、ぐっと腕に力をこめる。
首筋の近くにじわりと染みるものを感じて、さかもとくんも泣いているのが分かった。
きっと。
この人が抱いているのは、親愛の念。
でも。
俺が抱いているのは、恋愛の念。
交わらない想いを必死に心の奥に詰め込んで、腕の中でそっと目を閉じれば。
さかもとくんの唇が、すっと俺の首筋を掠めた、気がした。
END
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13で物凄くくらーいのを書いてみました^^
実はまーもよししこを好きなのですが、よししこは気づいてない。
まーはよししこが自分を好きでいてくれるのに気づいてはいるものの、一緒に居られないことが分かった今、告白するのを止めた、という。
続編もあるにはありますが、酷く報われないのでこの辺で。