近いうちになにか持ってきます。
コメント返信もその時に、すみませんです(汗)
今日は何かというと、ふと浮かんだ短編持ってきただけです^^
時間が無いのでそのまま去りまーす(汗)
俺は弱虫で、たった四文字の愛の言葉も言い出せない。
ふざけてなら幾らでも言えるのに、想いを込めて口を開くと喉に詰まってしまう。
意を決して顔を上げると、決まって優しく光る目に自分の視線が重なって。
どうした?なんてこれまた優しい口調で言われるもんだから、余計言い出せなくなる。
こういう時だけ優しい顔、すんじゃねぇよ。
心の中でそう悪態をつきながら、言おうとしていた言葉を飲み込んだ。
「・・・なんでも、ない」
「何だよ、それ」
「五月蝿ぇな、忘れちゃったんだよ」
「あ、そう」
気にしたくせに深追いするわけでもなく、サカモトくんは手元の台本に視線を戻す。
ここで少しでも追求してくれれば、勢いで言えるかもしれないのに。
・・・や、そんな勢いで言ったって後悔するだけじゃん、俺。
ただでさえ舞台前で大変な時期なのに、そんな人に責任転嫁までしてしまった。
ごめんね、とまた心の中で呟いて、俺も読みかけの本に目を落とす。
「あのさ」
不意に。
サカモトくんが口を開く。
「なによ?」
「そろそろ、言ってもいいんだぜ」
「・・・なに、を?」
「それはお前が一番分かってるはずだろ」
全てを見透かすような目に見つめられ、どきり、と胸が鳴った。
言ってしまおうか、と思う。
でも、サカモトくんの言葉の信憑性の無さに、留まってしまう。
だって、この人が俺の気持ちを知ってるわけが無い。
一回も口にしたことが無い、俺の想いを理解しているわけが無いのだ。
どうにか誤魔化そうとへらりと笑顔を作った瞬間、物凄い勢いで景色が変わり、ガッと後頭部と歯に衝撃が走った。
それが。
押し倒されてキスをされたのだと判断するのに、数秒を要した。
「な・・・っ?!」
「知ってたよ、イノハラ」
「じゃあ、なんで」
言ってくれなかったの、と尋ねようとした俺の唇は自由を失う。
完全に主導権を奪われて、酸素を取り込む余裕すら与えてもらえずに。
涙をぼろぼろとこぼしてバシバシ身体を叩くと、ようやくサカモトくんが俺から離れた。
ぬれた唇をぺろりと舐める姿は酷く艶めいていて、俺の奥に潜んでいた熱を引っ張り出す。
「そんなの、決まってんだろ」
余裕のある笑みの中に潜む、荒々しく熱っぽい瞳が、俺を映す。
「お前が苦しんでる顔が見たかったからだよ」
さっきまで優しかった表情の欠片も無く、意地悪く歪む顔の前で。
恐怖を感じながらも、俺はただ駆り出された熱に浮かされてぼんやりとその目を見つめていたのだった。
END
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たまにはこんなまーもありということで。